物忘れ・認知機能の低下
物忘れや認知機能の低下が気になる方へ「同じことを何度も聞いてしまう」「人や物の名前が思い出せない」「最近ぼんやりすることが増えた」
年齢を重ねるにつれて誰でも多少の物忘れはありますが、認知症の始まりであることもあります。
ご本人が気づかないことも多いため、ご家族の気づきも大切です。早めに確認しておくことで適切な対処や支援につながります。
物忘れ・認知機能低下から考えられる主な原因
加齢による軽度の物忘れ
- 鍵や財布の置き忘れ、人の名前が出てこないなどは加齢でもよくある現象です。
- 一般的には日常生活に支障はなく、ご本人も自覚があります。
認知症の初期症状
- アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症など
- 日常生活に支障をきたすような記憶障害、判断力の低下、迷子、金銭管理の困難などが見られます。
- 本人に自覚が乏しい場合もあります。
一時的な認知機能低下の原因
- うつ病、不安障害(仮性認知症)
- 睡眠不足やストレス、感染症や脱水
- ビタミン欠乏(特にB1、B12)や甲状腺機能異常など
- 薬の副作用や多剤併用による影響
当院で行う検査・診察の流れ
まずはご本人やご家族のお話を丁寧にうかがい、以下のような評価を行います。
- 医師による問診(症状の経過、生活への影響、服薬状況など)
- 認知機能検査(長谷川式認知症スケールなど)
- 血液検査(貧血、甲状腺機能、肝腎機能、ビタミン、感染症など)
- 必要に応じて画像検査(脳MRI・CT)は専門医療機関をご紹介
当院での治療とサポート
原因や状態に応じて、以下のような対応を行います。
- 軽度認知障害や初期認知症:薬物治療の検討、生活指導、介護保険利用のサポート
- うつ病や薬剤性の記憶障害:根本原因の治療と環境調整
- ご家族への情報提供やケアマネジャーとの連携
- 定期的な評価と経過観察による早期対応
一人で悩まず、まずはご相談ください
「まだ病院に行くほどでは…」と感じていても、早めに評価しておくことで安心につながります。
山本医院では、ご本人とご家族のお気持ちに寄り添いながら、丁寧に認知機能の確認を行い、地域の医療・介護資源と連携しながらサポートしています。
参考文献・出典
- 厚生労働省『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)』
- 日本神経学会『認知症疾患診療ガイドライン』
- 日本内科学会『内科学 第11版』

執筆者 山本医院(岡山市)副院長
山本 修平(やまもと しゅうへい)
大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)卒業。東邦大学医療センター大橋病院、国立病院機構東京病院、厚生中央病院、都立駒込病院、神戸百年記念病院などで消化器疾患全般の診療経験を積む。
- 〈専門分野〉一般内科、消化器内科、内視鏡診療(胃カメラ・大腸カメラ)、肝臓病
- 〈保有資格〉日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 専門医、日本消化器内視鏡学会 専門医